中日新聞 chuniti web press

ビッグイシュー」名古屋で販売 
東海地方初、15日から

 ホームレスの人たちが街頭で売り、収入を生活費などにあてる雑誌「ビッグイシュー日本版」の販売が、十五日から名古屋市内三カ所で始まる。東海地方で初めて。
 名古屋市役所で十二日に会見した発行元のビッグイシュー日本の佐野章二代表は「収入を元手に部屋を借り、新しい仕事を見つけてもらいたい」と期待を示した。

 ビッグイシューは一九九一年、ホームレスの自立を目的に英国で誕生。現在、世界二十八カ国で発行され、日本版は二〇〇三年九月に大阪で創刊された。

 音楽や映画の紹介をはじめ硬派な社会問題、世界各国版の記事も翻訳して掲載している。

 販売できるのはホームレスだけで、販売員になると一冊九十円で仕入れて二百円で売り、差額の百十円が収入となる。毎月二回発行で販売員は全国で約百二十人に上る。

 名古屋での仕入れの窓口となるのは、ホームレス支援の市民団体のメンバーが中心になって今月三日に結成した「ビッグイシュー名古屋ネット」。ホームレスの男性三人が販売員として参加する。その一人、坂口仁範さん(57)は昨年、脱水症状を起こして入院するまで空き缶集めをしていた。

 「仕事がしんどくなっていたときに熱心に誘ってくれた。声をかけてくれた人のためにも後に続く人が出てくるよう頑張りたい」という。

 〇三年の全国調査によると、名古屋市内のホームレスは千七百八十八人。佐野代表は「ささやかなスタートだが、少しずつ販売員が増えていけば」と話す。

 坂口さんら三人は十五日午前八時からJR名古屋駅の交番前、名鉄近鉄名古屋駅前、栄の松坂屋周辺で販売を始める。一日二十五−三十冊の販売を目指す。問い合わせは、名古屋ネットbigissue_nagoya@yahoo.co.jpへ。 (宮川 まどか)